石老山は、神奈川県相模原市の相模湖の南に位置する700mにも満たない山(三角点地点694.3m、山頂地点702.8m)です。中腹には、平安時代に建立されたと伝えられる顕鏡寺があり、登山道の周辺には、石老礫岩が長年の風化で造りだした、数々の伝承をもつ奇岩や巨岩もあります。登山道は東海自然歩道にもなっています。
国道412号の相模湖リゾート・プレジャーフォレスト(旧相模湖ピクニックランド)近くに建つ、石老山の立派な看板を目安に左折。相模湖病院の駐車場の脇に数台分ある、登山者・参拝者用駐車場を利用、顕鏡寺への表参道ともなっている登山道で石老山を目指します。
登山入口から顕鏡寺までの表参道の岩。
- 屏風岩(びょうぶいわ)
一見住居の屏風を思わせるところから屏風岩という。中央より左右に割れて並び、その間が通路になっているところから別名「切通し」ともいう。岩の大きさは、高さ約45m、横幅約7m。 - 仁王岩(におういわ)
平面に傾斜している巨岩と、右側に少し入ったところに直立した巨岩がある。左右相対して一対の岩となり、これを「仁王岩」または「阿呼岩(あうんいわ)」という。左側の巨岩は、高さ約9m、横幅約12.5m、右側の巨岩は、高さ約7m、横幅約9m。 - 駒立岩(こまたていわ)
山中最も有名な巨岩で、伝説も秘めている。石老山顕鏡寺建立の始まりで、京都高家の宮人三條殿の若君武庫郎(むこお)と八條殿の姫君が、今から一千年の昔、名馬にまたがり住居とする岩窟を探す時、この岩で休憩したといわれ、岩上には馬の蹄や寝た跡がある。岩の大きさは、高さ約11m、横幅約17m。
- 力試岩(ちからためしいわ)
大きい岩の上に直立した小さい岩が「力試岩」である。昔、力持ちの人達が力試しをしたと伝えられている。大きい岩が「男岩」で周囲約3.5m、高さ約1.6m、小さい岩が「女岩」で、周囲約2m、高さ約1.6m。 - 文珠岩(もんじゅいわ)
大きな岩を「文珠岩」といい、岩のように重い罪も文珠の知恵はこれを救うといわれて、参拝者はこの岩肌にさわってあやかるのである。岩の大きさは高さ約12m、横幅約17m。 - 岩窟(がんくつ)
「道志(どうし)法師」、「源海(げんかい)法師」が住居とし、これを道志岩窟という。岩窟の中に「福一満虚空蔵尊(ふくいちまんこくうぞうそん)」が安置されており、顕鏡寺の寺宝とされている。顕鏡寺で行う小児虫留加持(しょうじむしとめかじ)はこの虚空蔵尊の霊験といわれている。岩の大きさは、高さ約7m、横幅約12mで、岩窟の中は奥行約5m、横幅約5m、高さ約2m。
顕鏡寺の鳥居をくぐると急な登山道になり、大きな桧林の中を進みます。八方岩付近は視界が開け、展望を楽しむことができます。また、その先の融合平見晴台からは相模湖と陣馬山が一望できます。
顕鏡寺から石老山への登山道の奇岩。
- 蓮華岩(れんげいわ)
「散蓮華(さんれんげ)」のような岩なので、蓮華岩といわれる。岩の大きさは、高さ約3.5m、横幅約8m。 - 鏡岩(かがみいわ)
平面が鏡のようであり、朝日を反射し光りを放つようであり「鏡岩」と名付けたといわれる。いわの大きさは、高さ約23.5m、横幅約18m。 - 吉野岩(よしのいわ)
登山者にかぶさるように突出しているこの岩を「吉野岩」という。別名「弁慶の力試岩」ともいわれ、中央に拳の跡が二つある。弁慶は強かった人かも知れないが、拳に似た石が抜け落ちてできたものではないかと思われる。岩の大きさは、高さ約11m、横幅約7m。
- 擁護岩(ようごいわ)
飯綱権現(いいづなごんげん)神社を覆いかぶさるように突出している岩が「擁護岩」で、別名「雷電岩(らいでんいわ)」ともいう。飯綱権現神社をかかえて守るため、擁護岩と名付けられたと思われる。この擁護岩は、石老山でもっとも大きい岩である。岩の大きさは、高さ約22m、横幅約19m。 - 試岩(ためしいわ)
大きな岩が半分に割れたのが、「大試岩」、横に割れて小さいのが「小試岩」である。昔、腕のたつ武士がこの山に登った時、鋭利な大小の刀でこの岩を試し切りしたと伝えられ、大刀で切ったのが大試岩、小刀で切ったのが小試岩という。岩の大きさは大試岩が高さ約3.5m、横幅約6m、小試岩が高さ約1.5m、横幅約4m。 - 八方岩(はっぽういわ)
山腹に突出した岩が「八方岩」で、この岩に登れば八方が見えるといわれているが、東南方面の眺望は雄大である。岩の大きさは高さ約9m、横幅約14m。
桧林の中を進むと開けた場所があり、そこからは雲取山が望めます。木の階段を登ると、まもなく山頂です。高塚山との稜線上にある山頂は、表示がないと通り過ぎてしまうかもしれないくらいですが、西側が少し開けており、どっしりとした大室山や蛭ヶ岳の展望が楽しめます。その後方には富士山も望めます。
静かな山頂で丹沢の展望を楽しんだ後、大明神山や大明神展望台のあるルートへ下山します。
大明神展望台からは石老山や大室山、遠くに富士山が展望できます。そこからは、杉林の中を模湖休養村まで下り、車道歩きで石老山登山道入口を経由して駐車場まで戻ります。
「石老山登山道入口」の看板は、国道412号沿いにとても目立って建っています。看板の側を通る度に、石老山に一度は登りたいと思っていました。標高は低い山ですが、楽しめる山でした。