北海道の利尻岳(国土地理院では、利尻山と表示されています)は、利尻富士とも呼ばれています。利尻島の「リイ・シリ」とはアイヌ語で高い山という意味だそうです。島のほぼ中央に山頂を置き海抜ゼロまで裾野をのばす円錐形の利尻岳、島すべてが高い山なのです。
登山道は鴛泊(おしどまり)、沓形(くつがた)、鬼脇(おにわき)と3コースありますが、現在鬼脇コースは崩壊が激しく、7合目までしか行けないようです。今回は鴛泊から登り、沓形に下ります。
<< 北海道の山旅1日目 >>
羽田空港発11:00の飛行機で稚内空港着12:50分。稚内で食糧品を調達して、稚内港発15:40分のフェリーで鴛泊(おしどまり)港着17:20分(約1時間30分)。ハイヤーで今日の宿泊地の利尻北麓野営場に17:40分到着です(約10分)。北麓野営場は鴛泊コースの登山口にあり、キャビンとテントサイトがあるとても良い施設です。山頂が眺められる場所が2ケ所あります。
<< 北海道の山旅2日目 >>
標高210mの利尻北麓野営場の登山口から、早朝の出発です。
歩き始めから樹林帯が続き、6合目第一見晴台で少し展望が開けますが、また樹林帯に入ります。7合目の胸突き八丁のきつい登りを登りきると、展望の良い第二見晴台です。幸運な事に、そこでブロッケン現象を見る事が出来ました。自分の影が遠くの虹の輪の中で動いているのは、とても不思議です。
第二見晴台からは沓形の町や礼文島も望む事が出来ます。8合目の長官山まではあと一上りです。長官山からは展望が開け、利尻岳の山頂が目の前に見えるようになります。
長官山から少し下った所に避難小屋があり、トイレブースもありました。利尻岳は全山で携帯トイレ使用です。トイレブースは私達が歩いたコースで5ケ所あり、回収ボックスは登山口に設置されています。
9合目(1410m)からは、ガレ場の登りが続きます。崩落した斜面側にはリシリヒナゲシやエゾツツジなどが見られます。過酷な環境で、美しい花を咲かせている姿には感動します。
利尻岳には山頂神社の鎮座する北峰(1719m)と南峰(1721m)がありますが、南峰は崩壊のため登頂、通行禁止になっています。
北峰の大山神社には、利尻岳山頂の表示もあります。
山頂からはこれから下る沓形コースの稜線や、その向うに海に浮かぶ礼文島も見えます。
利尻岳に沢山の花が咲いていました。リシリヒナゲシやリシリリンドウなど固有の種もあり、花を探しながら登ります。1700m余の山ですが低山帯から亜高山帯、高山帯と様々な植物を見る事が出来ました。
<< 占守鋸草 >>
千島列島の北東端にあるシュムシュ(占守)島で発見されたノコギリソウ(葉がノコギリのようにギザギザ)の仲間。
<< 利尻雛芥子 >>
北海道の利尻岳の山頂付近の岩礫地に生える、日本に自生する唯一のケシの仲間。
下山は沓形コースに進みます。合流地点からザレ場を下り、親不知子不知のガレ場や9合目の背負子投げの難所が続きますが、慎重に渡ります。鴛泊コースに比べて登山者がほとんどいません。しかし利尻島にはクマやヘビがいないので、それらに遭遇する危険はありません。沓形コースは花も多く咲いていました。しかしガレ場や岩場に咲いているのは遠くで見るだけです。後で聞いたのですが、写真を撮るための滑落が多いそうです。
9合目の三眺山(さんちょうざん)から見上げる利尻岳は、素晴らしい眺めです。危険個所を無事通過した安心感と、ヒメウスバシロチョウの歓迎もあり嬉しい休憩になりました。そこから5合目登山口まではハイマツからダケカンバへ、そして針葉樹とつながる樹林の中を下って行きます。
ようやく見返台登山口に着いたのが午後4時です。ハイヤーで今日の宿泊地の正部川旅館へ向かいます。正部川旅館は沓形港の近くにあり、生ウニなど食事の美味しい宿でした。近くには利尻ふれあい温泉もあり、割引料金(島民料金400円)で入る事ができました。明日は礼文島です。